夏代孝明の表現するアイロニーな優しさ。”歌い手”の枠は融解している? 新世代クリエイターの真実を解く

引用:7246plus

夏代孝明の真実

夏代孝明 – Natsushiro Takaaki –

インターネットを活用して音源を公開。次々に動画による発表を続けて持ち前の歌声で注目を集め、2016年に「弱虫ペダル NEW GENERATION」OP曲に起用されるなど話題に。

2018年には全自作曲によるアルバム「Gänger」を発売。ネットカルチャーからヒットを巻き起こして200万再生を超えた「ニア」などが収録され、オリコンデイリー13位、iTunes6位を記録。

2019年3月のワンマンツアー「Fußgänger」では自身最大規模となるLIQUIDROOM公演を含むチケットを即完させ、7月より初の海外単独公演を含むツアー「Vacilando」の開催が決定しているほか、JOIN ALIVE、SAKAE SP-RING等のフェス出演でも注目を集める。

昨今、ネット発のアーティスト達が音楽シーンを賑わしている。何千万回再生、武道館でライブ。よく目にするようになりました。この流れはしばらく変わらない気がしてる。きっと。

そんな中ぼくは『夏代孝明』というアーティストが、邦楽史に名を刻む存在だと本気で思っています。本当に良いと信じられるものだけ大切にしたいし、どうかたくさんの方に聴いて欲しい。
このような思いから当サイト「Refrain39」は生まれ、記事を書いています。

 

とはいえ。どれだけ言葉で語り尽くそうとも、足り得ないだろうから。まずは1曲彼の音楽を聴いて、その先もぜひ読み進めてみてください。あなたの期待に応える素敵な音楽が。歌が。ここにあります。

自身の曲と歌で伝える叙情的なメッセージ

人間という生き物のこと、みんなはどう思いますか。
僕はまだ、期待しています。

彼の代表作でもある「ニア」。

ほら、もう好きになるのに1分とかからなかったでしょ?
感情に訴えかける歌声、透明感溢れるメロディー。冒頭の語りかけるような一節にドキッとさせられる。

ストーリー仕立ての曲と映像に様々な解釈ができるんだけど、答え合わせは聴き手に委ねてる。
それはきっと、その人自身が持つ考えや気持ちを強制させない優しさだったりするんだよね。くだらない僕たちのことも、ありのまま受け止めてくれるような心温まる楽曲です。

 

2015年1月7日。1stアルバム「フィルライト」でメジャーデビュー。アルバムのラストを飾る曲に自身の作詞作曲で書き下ろされた「フィルライトメッセージ」。

正しい言葉なんていらない
間違っている君も好きだよ

本当はどの曲をどのように切り取っても、聴けば虜になってしまうのは明白なんだけど。どんな手を使ってでもこの曲だけは全人類の鼓膜に捻じ込んでやりたいと思ってるから、聴いて。

 

当時のネット音楽の流行りとは逆行するような楽曲に仕上がっていて、決して派手さはない。「なあ そうだろ」と独白かのように静かに曲は進んでいく。そうして紡がれる言葉と歌声は後ろ向きなようで前向きな期待を感じさせ、そっと背中を押してくれる。補助照明のように大切な人に寄り添うことができたなら。そんなまだ見ぬ自分を憧憬している。

いつだって「フィルライトメッセージ」には心が救われてしまうし、「夏代孝明」の誰かを想う気持ちと決意に感情を揺さぶられてしまう。この曲を聴いてくれたあなたもそうであればいいな、と願ってやまないです。

別視点から楽曲を魅せる”歌い手”としての顔

ボカロ曲に始まり彼の音楽の原点でもあるBUMP OF CHICKENなど。様々な楽曲をカバーし動画をアップし続けている、”歌い手”としての「夏代孝明」も聴いてみて欲しい。

原曲
歌 : Aimer / 作詞作曲 : 内澤崇仁(androp)

彼のライブの中でも度々披露されている楽曲「カタオモイ」。言わずもがな名曲ですね。

一度聴けば頭から離れない。異彩を放つその歌声が存分に発揮された、素晴らしいカバーだ。歌が上手いなと感じるところって人それぞれだろうけど、1つの共通点として「何を歌ってもその人の曲になる」っていうのがあると思っていて。いつだって彼にしか描けない色を魅せてくれる。
たとえば最後のフレーズ。Aimerさんは最後まで諦めきれず切望するような「愛してる」。夏代さんは幸福な二人の未来を予感させるような「愛してる」。ぼくにはそんな風に聴こえる。天性のシンガーだと確信しています。

こんな風に楽曲の違った側面を覗かせてくれる、いわゆる”歌ってみた”の文化がぼくは大好きです。新たな音楽との出会いに繋がるきっかけになればいいなと思っています。

「夏と彗星」は音楽の伝わる深度を追及する

これまで、数々の楽曲が発表されてきました。一曲一曲に彼の伝えたいメッセージが込められていて、その多くは聴く人の背中を押し、元気を与えてくれる印象が強いと思います。タイアップ曲や楽曲提供も多く手掛け、最近ではロックフェスにも初出演し活躍の場を広げている「夏代孝明」の目指す音楽はどこにあるのか。

そんな中2019年6月7日、新名義のソロプロジェクト「夏と彗星」として新曲「juice」が公開された。

君をただの嘘つきに 変えてしまった僕が憎らしくて
嗤いながら淀みきった 空を見上げていた

うん、好き。どうしようもないくらいに好き。全く新しいサウンドに、身体ごとふわふわ蕩けるような心地良いリズム。一瞬で過ぎ去るこの3分間は夏代孝明が起こした奇跡だよ。これぜったい快楽物質出してる。脳内麻薬です。

 

だけど彼は今までの歌い手としての活動を踏襲しない「juice」を公開するまでに、葛藤の中に悩みもがいていたのかもしれない。

 

本当はね。変わって欲しくないなって思う人も多いと思うんですよ。置いてかれるような感覚や寂しさだって、昔から応援し続けている人こそ強く感じてしまうかもしれないし。
それでもぼくは今まで以上にもっともっと素敵な景色を見せてくれると信じてるし、期待しちゃってる。

 

そして東京・大阪・台湾を巡るツアー『Vacilando』が発表されています。同じ夢を見たいね。


引用:7246.jp

【夏代孝明 コメント】
どこへ行くかよりも、どんな経験をするか。そんな旅をしてみたくて、Tour Vacilandoと名付けました。
みなさんと紡いでいく旅が今から待ち遠しい。最高の夏にしましょう。

夏代孝明が描く未来は照らされていて欲しい

ここまで読んでくれて、曲を聴いてくれてありがとうございました。夏代孝明が大好きなファンの方達にも好きの気持ちを共有したくて、心を込めて書きました。もし初めて「夏代孝明」を聴いて気になった方がいれば、他にも動画がたくさんあるからぜひ探してみて。願わくば、CDを手に取ってライブにも足を運んでみて欲しいです。きっと、もっと好きになる。

最後になるけど。みんなみんな、夏代さんの音楽で幸せになればいいと思っています。聴いてください。
「夏代孝明」で、「プラネタリウムの真実」。